「その時視察の世話をしちょったんが宮城
「その時視察の世話をしちょったんが宮城彦助って人やった。逆恨みした先鋒隊が宮城さんを襲撃するって話を耳にしてな,それに激昂したうちの隊士達が先鋒隊の所に押し入って関係のないあっちの隊士を一人殺してしまった。まぁこっちも報復で一人殺られた。
それの責任を負って本当は晋作が切腹の筈やったが晋作を失うのが惜しかった藩のお偉いさんは宮城さんに切腹を命じたそ。」
「そんな……。」
ここでようやく三津の中にあった謎が解けた。【平價植髮陷阱】看似吸引的植髮價錢 卻不能忽略的風險!
『河上さんと滝さんが総督任された要因これか……。やからあの時赤禰さんちょっと複雑な顔しはったんや……。』
そして今日も不快な思いをさせられた。だけどまた問題を起こせば今度もまた誰かが責任を取らされる事になる。だから赤禰は耐えたんだ。それなのに自分は真っ向からあいつらに噛み付いた。
「九一さん!私赤禰さんに土下座してでも謝らんと!」
三津が詰め寄り着物を掴んで真剣に見上げてくるから入江は一瞬目を丸くしたがすぐに声を上げて笑った。
「大丈夫,武人さん笑っとったほっちゃ。三津のその猪突猛進なとこには頭が下がるやって。」
「それ貶してます?」
「さあ?それは武人さん本人に聞いて。とりあえず私が話せるのはここまで。三津は?何か吐き出すことある?」
入江が含みのある笑みで見下ろしてくる。この笑顔の時は大抵何かを察していると言うかすでに弱みを握っている。
「……今の所特には。」
何の弱みか探るためにはぐらかしてみた。
「土方の件をここに飲み込ませに来たのにないそ?」
『それか!……会ったの知ってるんやな。』
三津は観念して掴んでいた着物を離してからじっとり入江を見上げた。
「土方さんと会って和解したのにまだ体は怖がってるのが意味わからんくて……。」
「そりゃいくら謝られてもその時感じた恐怖はなくならんやろなぁ。それもあるけぇ三津に手を出すのはちょっと怖い。三津に拒絶されたら私生きていかれん。」
「九一さんの事は私も拒絶したくないですねぇ。」
二人で顔を見合わせてやっぱりこのままが心地良いねとほのぼの笑い合った。
「なぁ君らのその関係に名前を付けたいわ。」
二人が同時に振り返ると困惑気味の赤禰が立っていた。
「別に理解してくれんでええし。」
「理解云々よりその関係が微笑ましいから何かいい呼び名ないんかって思っただけっちゃ。否定はしとらんぞ?」
それを聞いて三津と入江は顔を見合わせてからまた赤禰の方を真っ直ぐに見て微笑んだ。「やっぱり武人さんは大人ですね。そう言ってもらえて嬉しいです。何でもかんでもはっきりさせろと言われるのは窮屈です。」
こう言う生き方もある。それでいいじゃないかと三津は思うが世の中は許してくれないのだ。
大多数を正義とし,幾ら少数派が正しかったとしても数に負け肩身の狭い思いをするのだ。
だから理由がなくともそれでいいと認めてくれる人が一人でも居てくれるのは心強い。
「なぁ入江,ちょっと三津さん貸して?」
赤禰の申し出に入江はにっと笑った。
「じゃあ私は先に戻っとるけぇ後は二人でどうぞ。」
入江はにんまり笑って三津の頭を撫でた。そして立ち去る前に小声で“武人さんを頼む”と囁いた。
『武人さんを頼む?』
言葉の意味はよく分からないがとりあえず二人で話せと言う事だろうか?三津はじっと赤禰を見た。
「……やけぇそんなに見つめられると照れる。」
「あっ!ごめんなさいっ!あの!さっきも喧嘩買ってごめんなさい!」
三津は慌てて頭を下げたがその頭に温もりが被さった。
「謝らんでええよ。俺が何も言えんかった分三津さんが言ってくれてスッキリした。入江から何か聞いたか?」
「はい,宮城さんの事聞きました。」
赤禰はそうかと呟いて頭から手を退けた。三津がゆっくり顔を上げると赤禰は悲しみを堪えるような悲痛な顔をしていた。
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