ただ江戸の街を見学しにきただけ

 

ただ江戸の街を見学しにきただけなのに大変なことになってしまった。

 

「うるせぇんだよ!お前ら何者かって聞いてるんだよ!」

 

「ただの旅人ですけどぉ。でもあなた達の行動がムカついちゃったんで出てきちゃいました」

 

美海が小馬鹿にしたように笑った。

 

 

「んだとコラ!」

 

もう一人の兵士も刀を抜く。

 

二対二だ。

 

「やるんですか。いいですよ。丁度体も鈍ってたし」

 

沖田もいつになく苛立っている。

 

「後悔しますよ」

 

美海がそう言った途端、既に兵士の目の前にいた。

 

美海はニヤリと笑うと刀を相手の腹部に刺した。

 

「ぐ!?」

 

久しぶりにやったが、急所にしっかりと刺さっている。

 

ビッ

 

刀を抜くと比較的少量の血が散った。【平價植髮陷阱】看似吸引的植髮價錢 卻不能忽略的風險!

相手はフラリと倒れた。

美海は全く汚れていない。

 

「な!その殺り方は

 

兵士は目を見開いて美海を見ている。

 

「よそ見していいんですか?」

 

「え?」

 

美海がそう言った時には既に沖田に斬られていた。

 

バタリ

 

早かった。

あの兵士はさほど強くなかったのだ。

「ふぅ。こういう不届き者がいるから私達は

 

沖田は言いかけたところで固まった。

 

 

まずい。

いきなり目立ってしまった。

 

気付いた時遅し。

既に周りは人で囲まれていて好奇の目と不審な目が交差している。

 

 

「すすげぇ!あんたらまじで何者だよ!」

 

「ここらへんのじゃないな?」

 

 

「ははははは

 

そう問いただされ美海は作り笑いしかできない。

 

まさか新撰組なんて言えないよ。ましてや立花や沖田なんて言ったら

 

 

美海は想像すると顔を真っ青にした。

 

そんな美海をよそに沖田は歩み出て言った。相変わらず笠は深い。

 

 

「旅芸人をしております」

 

沖田は今度は近くの傘を取ると少し歩いて玉を取ってきた。

 

バサッ

 

傘を開いて玉を乗せる。

そしてクルクルと回しだした。

 

「「「おぉ!!」」」

 

歓声が挙がると更に沖田は玉を傘の上で跳ねさせた。

まるで玉が生きてるようだ。

 

 

それを美海は唖然と見ている。

 

散々芸をした後沖田は玉を美海の頭上に飛ばした。

 

 

なるほど。

 

美海は刀を上に上げて玉を突き刺した。

 

 

「「おぉぉおお!!」」

 

拍手喝采が挙がる。

これで刀が使えてもおかしくない。

 

 

ていうか沖田さん

あなた何でもできるんですね。

 

美海は遠い目をした。

沖田は手を挙げて礼をしたりしている。

 

美海も頭を下げた。

 

だがそんな時間も束の間。

 

「あいつらか!」

 

美海の耳がその声を捕らえた。

「沖田さん!」

 

沖田に知らせると沖田も既に気づいていたようで逃げる準備をしている。

二人の聴力視力は野性的だ。

 

声の方を見ると沢山のとんがり帽子が走ってくる。

実に不気味な光景だ。

おそらくあの民衆の中にいた長州寄りの誰かが知らせにいったのだろう。

 

 

長州贔屓は京の人だけだと思ってた。

 

 

「行きますよ!」

 

美海が沖田に声を掛けた。

 

これはまずい。本当にまずい。

 

負ける気はしないのだが、このままだと大騒ぎになりかねない。

 

 

沖田は頷くとさっき笠を奪った人の元へ小走りでいった。

 

そして自分の頭からフワリと笠を外すと相手の頭に乗せた。

 

「これ、ありがとうございました」

 

ニコリと笑うと沖田は美海を追って走り去った。

 

「美海さん。これはまずいことになりましたね」

 

 

「本当、落ち着いて何もできませんよ。とりあえず逃げましょう」

 

 

その素顔を見た数人は固まる。

 

 

「そ……宗次「長州だぁぁあ!散れぇぇえ!」

 

 

沖田に気づいてしまったようだが、沢山の長州兵隊を見た民衆の騒ぎでその声はかき消された。

 

我先にと皆逃げるため砂ぼこりが酷い。

 

その人混みに上手く紛れて美海も沖田もその場を去った。

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