自分をこんなにも揺さぶって突き

 自分をこんなにも揺さぶって突き動かす原動力だ。

だから失くなっては困る。どこにも行かないように繋ぎ止める必要がある。

 

 

心は完全に掴んでる。他に掴んでいる奴がいるとすれば新平ぐらい。

 

 

「三津は今の私に不満はないの?」

 

 

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あっても言える訳がない。三津はへらっと笑った。

 

 

「全く下手な嘘を。言えばいいじゃないか。

もっと本音を教えてくれないか?

それにわがままも。私は三津のわがままなら何でも聞いてやりたいと思ってる。」

 

 

「それは小五郎さんのわがままですか?」

 

 

きょとんとした目に見上げられ,くくっと喉を鳴らした。

 

 

「そうだね,これは私のわがままだ。」

 

 

声を上げて笑いながら三津の右側に寝転がり,自分の腕を枕にして三津の方を向いた。

 

 

「不満……。お酒控えて欲しいのと他の女の人の紅付けて帰って来るのと……

なんて言ってたら小五郎さんは会合に行けなくなっちゃいます。

だから気にしないでください。」

 

 

「そうだね……。」

 

 

でも紅を付けずに帰る努力はすると苦笑い。

 

 

『そう言う女の人に会わない努力やないのね……。』

 

 

三津も苦笑いを浮かべた。無意識に溜息が溢れる。

 

 

「もう休みましょうか。」

 

 

強制的におやすみなさい。もうこれ以上は笑えない。三津は布団の中に逃げた。

 

 

『余計な事を言ってしまったな……。』

 

 

三津が本音を吐き出さず,二歩も三歩も下がって自分を立てるのが役目だと思ってる事ぐらい分かってるのに。

 

 

だからこそ少しのわがままくらい可愛いものなのに。

桂も無意識に溜息をついて布団に入った。

こうなった三津は何を言っても素直に信じてくれやしない。

 

 

そして次の日も引きずってるのは分かっていた。

 

 

「じゃあ行ってくるね。また昼には一度戻る。私には三津だけだから。」

 

 

「ふふっありがとうございます。」

 

 

三津の貼り付けたような笑顔に桂の目元は引き攣った。

 

 

『全然信用してないな……。』桂は盛大に溜息をついた。

 

 

「そんなあからさまに疑ってるような目で笑わないでくれないか?」

 

 

……すみません。」

 

 

『否定しないのか……。』

 

 

……信じる信じないは君の自由だ。好きにすればいい。」

 

 

桂から突き放すような言葉を投げつけられたのは初めてかもしれない。

 

 

一瞬で胸が締め付けられた。呼吸するのを止めてしまった。

 

 

桂が背を向けて家を出た。

戸が閉まってその姿が見えなくなった瞬間に一気に涙が溢れ出てようやく思い切り息が吸えた。

 

 

そして吐き出される息は泣き声になって喉から這い上がってきた。

 

 

「うっ……わぁぁぁん!」

 

 

飛び出した声は外にまで響いて桂の足を止めた。

 

 

『まるで子供だな……。』

 

 

後ろ髪を引かれる思いでいたが少しは考えさせた方がいい。そう思って引き返さなかった。

 

 

だが藩邸に着いた桂は気が気じゃない。こうして三津を突き放したのは初めてだ。

こんな時に三津はどんな行動を取るのか全く予想がつかない。

 

 

『まさか思い詰めて死のうとしないだろうな……。』

 

 

考えれば考える程悪い想像に飲み込まれる。

 

 

「溜息つき過ぎですよ。喧嘩でもしたんですか?」

 

 

そんな桂のお伴を一日しなきゃいけない俺も溜息が出るよと心内でぼやく伊藤。

 

 

「すまない……。後で三津の様子を見に行ってくれないか?」

 

 

「分かりました……。」

 

 

それなら喧嘩の理由くらい教えて欲しいもんだな。

 

 

『三津さんに聞くか……。』

 

 

遣いに出た足で家へと向かった。

 

 

「三津さーん。」

 

 

外から声を掛ければいつも聞こえる元気な返事はなく,静かに戸が開いて隙間から目を赤くした三津がちらっと顔を出した。

 

 

「だ……大丈夫じゃなさそうですけど……。」

 

 

「うん……疲れた……。」

 

 

泣き疲れたし考えるのも疲れた。だって答えが見つからないから。

 

 

もっとわがままを言って欲しいと言う癖に,それは聞き入れられない。

結局はこっちが割り切って我慢するしかないのにもっと本音を……と言われても。

 

 

嫌な気持ちにさせられるだけじゃないか。

そんな事を思っていたが,困り果てた伊藤を目の前にしてはっと我に返った。

 

 

「小五郎さんに様子見て来いって言われたんでしょ?ごめんなさい……巻き込んじゃって。」

 

 

弱々しく笑いながら謝った。

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