をのぞきこんで苦笑する
をのぞきこんで苦笑する。だが、永倉は難しいのまま、俊冬を開放しようとしない。
着物の袷を握りしめる永倉の掌を、おおきな掌でさする原田。
「俊春」
そして、もう片方の掌で、うつむいている俊春の注意をひく。
「おまえら、なにをたくらんでいる?新八が殴るのはいただけないが、気持ちはわかる。俊冬、それから俊春。おまえらこそ、からはなれ、丹波にいけ」
原田は、なにをいいだすんだ・・・。https://www.beclass.com/rid=274b0a16404477e1bac5 https://wow.esdlife.com/space.php?uid=133835&do=blog&id=464100 https://mamibuy.com.hk/talk/article/137078 その意図がよめず、斎藤とをみあわせてしまう。
「おまえら、頼むから自身のことも大事にしてくれ。こんだけ無茶なことやってもらって、明日の戦でも負担をかけちまうってことは、おれたちも重々承知しているつもりだ。をちぢめてるってことも、身にしみてわかってる」
力をこめたまま、語る永倉。その声は、涙声になっている。
「たしかに、ながい付き合いじゃない。だが、こういうのはときの問題ではなかろう?どれだけながい付き合いであろうが、がすれちがい、わかりあっていなければ、しょせんは他人どうし。仲間とはいえぬ。たとえみじかかろうが、それが通いあい、わかりあっていれば、仲間だ。否、兄弟みたいなものだ。おれと新八は、遠くはなれちまう。主計の話だと、斎藤もはなれちまうことになる。しかも、近藤さんは・・・。昔からの仲間はいなくなり、土方さんは一人になっちまう。おまえらや島田や勘吾に、託すしかない。託すしかないのもわかっている。だが、それと身代わりとは、また話しが異なるだろうが?」
原田の言葉で、ようやく二人の怒りの要因が理解できた。
影武者・・・。俊冬は、副長の影武者になるつもりで、髪を伸ばしていると?
混乱してしまう。そもそも、双子に副長の最期を伝えたことがあっただろうか?もしかすると、話の流れで蝦夷で戦死っぽいことを告げたかも・・・。が、はっきりとは覚えていない。
「おまえら、いったいなに者だ?なにゆえ、ここまでやってくれる?おれには、おまえらがここにいることじたい、不思議でならない。否、そもそも、京で出会ったってことじたい、偶然でもなんでもないって気がしてきている」
永倉の言葉も、おれにとっては衝撃的である。
たしかに、すべてがそのとおりである。いわれてみれば、いくら暗黙裡に動いていたとしても、これだけおおくの人にしられている双子である。明治期に、だれか一人くらいは「ああ、昔、こういう男たちがいた」的な話を語っていてもおかしくない。
誠にいま、このときだけに存在するのなら、あまりにもできすぎている。
永倉のいうとおり、出会いからそのあとにつづくすべてが、偶然や奇跡などではなく、必然であり、仕組まれたことにすら思えてくる。「すまない。なんか混乱している。兎に角、おまえらがなに者であったとしても、土方さんのかわりに死のうって思っているんなら、やめてくれ。かようなこと、許されることではないし、そもそも、土方さんは絶対に許すまい」
「永倉先生・・・」
いまや永倉は、叫んでいる。
俊冬は穏やかなで、自分の袷部分を握りしめている永倉の掌に両掌を添える。
「いつも申しておりますように、われらは獣、犬でございます。あなた方に拾っていただき、はじめて主を得ました。ゆえに、護りたい。われらは、ただそれだけを願っております」
単調な言葉が、静まり返った林を流れてゆく。あまりにも単調すぎ、催眠術にかけられたかのような感覚になる。その不可思議な感覚のなか、かれの言葉を疑うことなく受け入れてしまう。
「万が一のことを想定し、髪を伸ばしているだけのことでございます。副長が生き残るのでしたら、われらはどこまででもお供し、護りぬく所存。ゆえにどうか、われらのことはお案じ召さるな」
永倉の掌が、俊冬の袷部分からはなれる。
を幾度か振っている。原田も同様に、を振っている。そして、斎藤も。
のなかにひろがる靄を、
おれも、頭とをふって追い払う。
そのとき、木々の向こうのほうで人の気配を感じた。
双子はすでに、そちらへ意識とを向けている。
「脱走者のようですな。六名。東に向かっております」
を向ける。
「仕方がない。戦う気力をうしなった者に武器をもたせても、つかいもんにならない。それに、いまのうちに逃げておいてくれたほうが、おれたちもいらぬ気をまわさずにすむ」
永倉は、いまいましげにつぶやく。
「おれがかようなことをいったとしれれば、土方さんにどやされるな」
そう付け足す。
「また気配が・・・」
斎藤が呆れたようにいう。
これが、朝までつづくでのある。
百二十名程度に減るまで・・・。
組長たちも、そちらのほうへ
永倉は意識をしっかりさせようとするかのように、
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