それからしばらくは
それからしばらくは、依織と甲斐の間で特に大きな進展はなく日々が過ぎていた。 二人がセックスしたのは、一度きりらしい。 私は内心ホッとしながらも、 港股户口 いまいち強引さが欠けた甲斐の行動に少し不満もあった。 このまま甲斐が次の行動を起こさなければ、きっと久我さんが先に動いてしまう。 あの人は、自分の望みを叶えるためなら突き進む人だ。 別にどちらの応援もしていないけれど、甲斐には一言、喝を入れておこう。 そんなことを思っていた矢先、私はある場面に遭遇してしまった。 それは仕事の休憩中、自販機で飲み物を買おうと院内の廊下を歩いていたときだった。 目の前に甲斐の背中が見えたため、最近依織とどうなのか聞きたくて声を掛けた。 「甲斐!あんたさ、最近依織と …… 」 そこまで口にしたところで、私は甲斐が別の女性と会話をしている最中だったことに気付いた。 甲斐の体に隠れていて、その女性の姿が私には見えていなかったのだ。 「桜崎、お疲れ。今、休憩中?」 振り向いた甲斐は、気さくに私に声を掛けてきたけれど、私は甲斐と一緒にいるその女性のことが気になって仕方なかった。甲斐といる女性は、微笑みながら私に会釈した。 「じゃあ、私そろそろ店に戻るね。また連絡するから」 「ん、仕事頑張って」 その女性が立ち去った後、甲斐も私の前から逃げるように立ち去ろうとしたため、私は逃がすまいと甲斐の服を掴んだ。 「ちょっと待った。何逃げようとしてんのよ」 「お前に今から質問攻めされると思うと、気が重いんだよ。逃げたくもなるだろ」 「何の情報も得ないで逃がすわけないでしょ。で、今の女、誰?甲斐の友達?それとも、元カノ?」 お世辞抜きで、綺麗な女性だった。 落ち着いた雰囲気で、柔らかな笑顔。 年齢は同じくらいだろうか。 彼女の甲斐を見る目が、恋をしている女子の目と同じに見えた。 「お前って …… 本当に鋭いよな。今、一瞬見ただけで普通元カノかって疑わない